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2006年11月20日 (月)

「液冷戦闘機 飛燕」を読む その1

 以前本屋で見かけた時はハードカバーだったので手を出さなかったのだが、文庫として出ていたので購入した。
 主な読書場所が通勤の途中となると、他の荷物の存在もあって嵩張るハードカバーは中々買う気になれない。 値段だけの問題ではないである。
 
 太平洋戦争時に陸軍が使用した三式戦「飛燕」の開発から配備、実戦までを当時の開発者やパイロット・整備兵と言った使用者を取材して追ったノンフィクションである。
 戦闘機の場合、「悲運」とか「悲劇」と言った形容詞がつくものがある。
 大抵の場合は負けた側の戦闘機にくっつくのだが、能力に差が無いのに負けたような場合はこう言った印象が持たれるのだろう。
 だが、飛燕の場合はこう言った言葉より似合う言葉がある。
 それは「悲劇」。

・第一の悲劇
 第二次大戦の主要参戦国の戦闘機エンジンの主流は液冷エンジンが大部分で、空冷エンジンを主力に戦ったのは、日本位である。
 陸上機も含めて空冷主流だったのは日本だけで、その理由は工業基盤の差となる。
 空冷エンジンの方が機構が単純で作りやすく整備もしやすい。
 その中で飛燕のみ搭載エンジンを液冷とした所から最初の悲劇は始める。
 搭載エンジンはメッサーシュミットのエンジンDB601のライセンス生産品となるのだが、機構は理解でき試作も問題なくできる技術力があっても、量産時の品質確保は出来ない、原材料は同じ品質のものを使えないと言った基礎の工業力が伴わないまま、エンジンは開発される。
 当然、オリジナルや試作エンジンで出した性能や耐久性が量産エンジンで確保できるわけも無い。
 飛行機に限らずエンジンを搭載する乗り物の場合、エンジンさえまともなら後は何とかなるのである。
 いい例がF1のマクラーレン・ホンダの後期。
 車体の能力が劣っても強力なV12エンジンの能力で、車体の能力が高いフェラーリやウィリアムズのエンジンを上回っていたのでいい勝負ができた。
 別に当時乗ってたブラジル人・・・書くのも汚らわしい名前なので書かない(-_-;)・・・の腕で張り合っていた訳ではないのである。
 んじゃ今年のスーパーアグリはどうよ?となるが、何事にも限度というものはあると言うことで。
 第一、本家のホンダでさえフェラーリやルノーとまともな勝負にならなかったのだから。

 長くなるので続く。

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