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2006年12月 9日 (土)

佐藤大輔著「凶鳥 フッケバイン」を読む

 文庫で出たときに買ってそのままになっていた「凶鳥フッケバイン」を読む。
 何故買ってそのままだったかと言うと、この著者の新作が出るあてが無いからである。
 言わば保存食の様な存在にしていたのだが、昨今の困窮を鑑み手を着けたのである。
 「レッドサンブラッククロス」は終了まで20~30巻に至るのでは?と言われるボリュームなのに、まだトータルで10巻程度。
 他のシリーズも軒並み開店休業状態では物資の困窮があっても仕方がない。
 
 さてお話しとしては文庫版で付けられた「ヒトラー最終指令」の通り、第三帝国崩壊前夜のドイツが舞台である。
 ドイツ空軍のジェット戦闘機Me262が正体不明機を撃墜。
 機体はベルリンからちょっと離れた誰からも忘れられたような町の郊外に墜落。
 この機体の情報を得たヒトラーは戦局打開の為に機体の調査と確保の為、残された唯一の精鋭部隊陸軍降下猟兵中隊に出動を命じるが、その頃町では異変が・・・
 と言う感じに物語は進む。
 ストーリー的には仮想戦記では無く良くあるアレなのだが、そこに出てくる登場人物たちの絶望的な状況でも交わされるウィットに富んだ・・・見方によれば皮肉の応酬かも?・・・会話はやはり佐藤大輔である。
 これを楽しむだけでも充分元は取れると思うのだが。

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