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2013年12月 1日 (日)

ロバート・ブートナー著「孤児たちの軍隊 ガニメデへの飛翔」読了

 「エンターのゲーム」と間違えていたのは秘密として、表紙の渋さに取り敢えず買ってみた。

 帯びにあった「21世紀版 宇宙の戦士」と文字は、まぁ間違ってはいない。
 ただ、ハインラインと比べるとかなり今風の翻訳で、軽く読める。

 これってラノベなノリじゃないか?と思うし。

 ひょっとするとラノベかもしれないが、作者は軍隊経験ありかと思われる位、訓練の描写が細かい。
 年代の設定も2040年と、現在から30年程度しか離れてない事もあって、結構リアルに状況が想像できるのは面白い。
 ただ、流石にCレーションは物持ちのいい米軍でも2040年代には持ってないと思う。
 あれって、ベトナム戦争当時の戦闘糧食だから、賞味期限なんかとっくに切れていて、この時代からマニアがコレクションの意味で所持している程度だと思われるだけに、作者は遊んだなと。

 新兵の訓練のライフルがM-16ってのは、有りかもしれない。
 万が一の為に旧式銃もモスボールして保管している筈だから。
 流石にM-14やM-1は無いだろうけれど、ひょっとするとM-16系がまだ主力装備の可能性はある。
 ケースレスカートリッジとかの進歩があるなら判らないが、カートリッジ式ライフルから発展が無いなら5.56mmが生き残っていてもおかしくはないだけに。

 2040年にもなって、宇宙への進出意欲が無くなっているのは、人類と言うよりアメリカ自身に対して言っている様に思える。
 そのせいか?月に向かうのにアポロ計画のサターンロケットや宇宙船を再作成して行く羽目になっているし、異星人の攻撃をスペースシャトルを現役復帰させて迎撃と、全く防衛体勢がととのっていないのだから、攻撃されたらやられるだろう。

 主人公は能力はあるが落ちこぼれで、実戦になったらとんとん拍子に出世。
 上の指揮官が面白いくらいに死にまくるのだから、戦時任官させなきゃ軍隊と言う組織が維持出来ないくらいに攻められる。
 そして、戦時任官にありがちな話しで、戦闘が終わって落ち着いたら将軍から尉官にまで落っこちた。
 1万の軍隊で侵攻して生存者が数百人ってのは、すでに軍隊の形を成していなくてもおかしくないが、それでも目的達成して形を維持させてたのだから、その辺が考慮されて下士官から尉官になったのかもしれないし、後日談を見るとかなりスピード出世している様にも見えるので、出世コースには完全に載っていたのかもしれない。

 上級士官が戦時任官でだぶついて終戦と同時に降格は良くある話しで、彼の有名なカスター将軍も世紀の士官で無かった事から、南北戦争終了後には将から中尉まで落っこちている。
 正規士官でも将→佐、佐→尉と落ちているから、カスター将軍の場合が極端な訳ではない。

 この小説、アメリカでは続編が出ているそうなのだが、日本では何時出てくるかは判らない。
 第一弾が2004年出版なのに、日本では初版が2013年と言う時点で無理っぽさがある。
 読めればラッキーくらいに思っていた方が良い様だ。


 

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