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2016年1月24日 (日)

ロバート・ブートナー著「孤児たちの軍隊5 星間大戦終結」読了

 シリーズ最終巻。
 前作から半年も立たずに購入して例によってちょこちょこと読み進む。

 ナメクジとの戦争も約30年。
 10代から戦い始めたジェイソンもアラフィフになって、それでも中将の位置にいるのはそれなりに有能だったからだろう。
 そして、またこの巻でもいろいろな別れをする事となる。
 その割に変人ヒブル博士との腐れ縁は切れない。
 この縁が切れてれば、彼の人生はまた少し違ったものになっただろう。
 例によって、ヒブル博士の謀略に付き合わされて痛い目にあうオープニングから始まるが、良く考えれば博士も30年歳を取ってる訳で爺様とは思えないバイタリティがこのシリーズに花を添えている感がある。

 そうはいっても、そろそろ定年の近づいたジェイソン。
 軍隊ってのは、体力勝負なところがある分大抵定年が早い。
 特に戦時は高級指揮官は有能ならいくらでも欲しいが、平時が見えてくると官僚組織の顔を取り戻して所定の定員に向けて人減らししていく。
 恩給払って予備役に入れても、現職に留まらせればそれなりの役職や部隊を預ける事によるコストよりは安上がり。
 ジェイソンのように戦時任官で昇進してる場合は特に肩叩きの対象になりやすい。
 正式な道を歩いてきた士官からすれば、先に肩叩く奴がいるだろうと。

 そして半ば勢いで退役してしまう訳だが、ここまでまともな手順で昇進をせずにあれこれと現場でばたつきながら実績を上げて来た、叩き上げらしいしぶとさと培ってきた人脈で最終決戦にもぐり込み、何の因果か敵の本体と1対1で対決する事に。
 最終決戦のジェイソンの判断が正しかったかは意見の別れるところだし、どっちを取っても結果には変わらなかった感はあるけれど、「孤児たち」を誰を含めるかを考えるとこの判断で良かったと思う。

 そして半生を共にした戦争が終わり、ジェイソンは新たな家族を作って舞台から去っていく。

 このシリーズ、SFの形式はとっているものの、宇宙の深遠をどうのとか異星人との邂逅とか、妙な哲学を語るより、現実の社会にどっぷりと嵌まったごく普通の社会のあれこれを前面に描いてるのが異色。
 それ程SFを読んでいるわけではないけれど。

 「孤児たちの軍隊」シリーズの続編として戦争終結数十年後「孤児たちの遺産」シリーズが出ていると言うが、こちらも翻訳版が出版されるのだろうか。
 いろいろな歪みを戦争の一言でつながっていた人類同盟が、どんな問題が出てくるか。
 戦争やったら大変なのは戦時より戦後をってのを地で行きそうな内容だろうなと思うが。

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