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2017年7月 3日 (月)

兵隊元帥欧州戦記 読み返し

 第1巻の作者あとがきを見ると1997年とある。
 20年も前の作品だったかとちょっと驚き。
 この頃はいわゆる仮想戦記がブイブイ言ってた時代で、当たり外れのブレッ振りも凄まじいジャンルだった。
 このシリーズはそんな中で当たりなものだった。

 いわゆるIFを実行したらどうなるってジャンルだが、大抵は「そりゃ無理だろう」って設定ばかり。
 そんな中、このシリーズは「日本がインド洋を制したらどうなるか」について、かなり作り込んでいる。
 それも史実の様に太平洋にどっぷり嵌まっていても、この程度の戦力抽出なら何とかなる、と言うか太平洋で使えない戦力を回したレベルでも、タイミングと使い所を間違えなければあるいは?と言った結果になる。

 そんなシリーズだから、大抵の仮想戦記から妄想戦記までお約束な大和・零戦・山本五十六は全く出てこない。
 欧州戦域を主体としているから当然ではあるけれど、第二次大戦とは世界大戦であってすべてが繋がっているという作者のテーマから、このシリーズで蒔かれた伏線が次のシリーズで収束を見せる。

 日米開戦時、ドイツの3号戦車並に改造された97式を装備した戦車大隊が北アフリカに上陸。
 大戦略しか想像できない陸軍情報機関が、北アフリカを制圧したドイツとインドで手を結ぶなんて妄想の犠牲者だったが、兵隊元帥と称される位「デキる」指揮官だった事と、この時の北アフリカの趨勢はイギリスもドイツも決定的な力を持っていなかった事で戦局を大きく左右する事になる。
 そんな熱砂の北アフリカの戦車戦を皮切りに、荒天の北大西洋の通商路を巡る空母戦、地中海の要衝マルタ島攻略、西インド洋を暗躍する綾波隊の通商破壊戦、そしてスエズを巡っての中東打通戦へと繋がっていく。

 そんな戦闘の中で存在感を発揮するのが「兵隊元帥」
 一兵卒からキャリアを重ねて、佐官にまで上り詰める有能な軍人を称して「兵隊の元帥」と呼ばれる。
 腕一本で成り上がってきた連中だからこそ、そんな状況でも結果を残す。
 中間管理職としてはこれほど頼りになる存在は無いが、使いこなせるかは上にたつもの次第と言うのは、今でも変わらない様に思える。

 アマゾンではまだ入手できるらしい。


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