名古屋グランパスの川崎戦中止に対する懲罰について思うこと
虚偽の報告で川崎戦を中止にさせた名古屋グランパスについて、Jリーグからの裁定が出た。
色々と波紋を呼んでるこの件について、私見をつらつらとなるべく公平になるような視点で書いてみる。
(これについては面倒になりそうなのでコメ欄は閉じておく)
1.最初に結論
一言で言えば「甘い!」
これが1ヶ月半も掛けて、調査・審議に基づく裁定なのかと思った人は多かったようで、Jリーグに興味のない世間一般は別として、Jリーグ関係者やサポが受け入れられる内容とは言い難いし、非難も殺到状態。
ひょっとして、こうやって名古屋が突き回されるのが影の罰則だとしたら、Jリーグは恐ろしい子である。
罰金200万は決して小さい額ではないが、名古屋には端金にしか見えないってのもあるし。
罰則としては昨年浦和が喰らった没収試合に習うべきだった。
だって誰も損しないじゃないか。
2.経緯
ことの発端は「コロナ陽性者が出た」という所から。
な「保健所さん、コロナ陽性者がたくさん出てます!」
保「大量に感染者が出た際の対策については云々(以後説明)」
な「Jリーグさん、保健所から活動自粛しろと言われました!」
J「規約に沿って川崎戦は中止とします。」
か「了解しました。現地観戦予定のサポに向けて広報します。説明用に名古屋さんのプレスリリースをうちのサイトに転載します。」
後日
ほ「グランパスさん!うちは活動自粛しろとは指導してませんよ!勝手な解釈は困ります。」
な「え、だって?…ヤバい、リリース直しておかなきゃ!」
スポ新「グランパスのスキャンダルを記事にしたろ。」
J「どういうことだぁ!説明に来い!!」
か「・・・・(サイトのリリースはそのままにしておくか)」
大まかに外に出てる流れはこんなもの。
なんせ公式な状況説明が無いので、マスゴミの2次ソースもどこまで信頼があるか判らない。
3.名古屋は本当に試合ができなかった?
この流れで誰が悪い?と言えば、9割方「名古屋が悪い」って意見になるだろう。
残り1割はなんでもJリーグのせいにしたがる層と川崎憎しな連中くらいか。
いるんだよそう言うの。
当時の名古屋の内情は公式サイトからしか判らないが、試合日(7/16)直近でのコロナ感染関係のリリースは選手1名のみ。
名古屋の選手序列はよく知らないが、2日前の天皇杯は連戦のターンオーバーを考えればほぼ妥当じゃないか?ってスタメン+ベンチ。
当然ベンチGKは1名。
それが前日の7/15に試合中止のリリースが唐突に出てくる。
川崎が夕方には前日移動してくることや、川崎サポが殆どだろうけど長距離移動且つ名古屋で宿泊・観光を計画している観客がいる事を想定すれば、リリース出したタイミングは悪くなかった。
ただ、そのリリースの中で「管轄の保健所より7月14日(木)から16日(土)までの間、トップチーム活動停止の指導を受けました。これにより、2022明治安田生命J1・J2・J3リーグ戦試合実施要項に定めるエントリー要件を満たせないこととなりました。以上を踏まえ、Jリーグ規約第62条に基づきチェアマンにより試合の中止が決定されました。(川崎公式サイト(https://www.frontale.co.jp/info/2022/0715_1.html)より引用)」とある。
活動停止を言い渡されたから選手が13人以上出せないので中止ねって理由はこの時点では致し方ないし、次の試合に影響でなければ良いねと心配をしたのは名古屋サポだけではないはずだ。
その後、「保健所は活動停止を指導した事実はない」とちゃぶ台返しがあった。
さっさと「保健所との意見の相違があったので確認し報告します」ってリリースを出せば良いものを、7/15に出したリリースをこっそり改竄なんかするから、痛い腹を更にグリグリされる羽目に陥った訳だ。
川崎ってさ、他のクラブのリリースとか対戦相手監督の記者会見のコメントとか、ほぼ全文をサイトに載せるんだよね。
直近の鳥栖戦でも、監督コメントが要約された鳥栖のサイトより川崎のサイトの方が監督の試合での意図が伝わったと鳥栖サポが言ってる位である。
今回のリリースを川崎のサイトから持ってきたのも名古屋のサイトは当時のが無いってのもある。
ここからはJリーグのリリース(https://www.jleague.jp/release/%e6%87%b2%e7%bd%b0%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6-4/ より引用)からの推測となる。
保健所は活動停止を指導することはないのに、「活動停止と言われた」と話がねじ曲がった訳だが、これは名古屋側から対応策を開示した時に、活動停止があったのを保健所が異議を唱えなかったからって記載されてるが、そうなると名古屋は初めから活動停止を前提にしていたこととなる。
川崎戦が終われば、代表ウィークなので30日までは公式戦は無く、上手く行ってない状況を立て直す時間が取れる。
つまり、Jリーグのリリースに嘘が無い前提で言えば、名古屋は開催に向けての努力をすることなく、チェアマンに結果として虚偽となった報告を上げて中止を決定させたと取られても文句は言えない。
「彼らはあの日に試合する気があったのか?」という疑念はずっと持たれ続けるだろう。
4.Jリーグの裁定
結論でも述べたが、譴責・罰金200万とはずいぶんと軽い。
試合を延期しただけだから甘々にしましたって訳でも無かろうが、Jリーグの裁定って一貫性が見られず、その場その場の対応で凌いでる感じしかしない。
この裁定に真っ先に声を上げた浦和サポの気持はよく解る。
これを「声出し応援2000万と一緒にするな」って方向違いの批判しているのもいるが、浦和サポが言っているのは昨年の鈴木彩艶選手の無資格選手出場に対する懲罰である。
あの試合は結局浦和が敗戦したからって訳では無いが、没収試合とされている。
あの時の鈴木選手はリーグで定められた陽性検査結果を出してないとの事だったが、直近の代表での検査では問題なしとなってるので彼が感染していた事実はなく、単に手続き上の過失を浦和が自己申告したら特大の懲罰を喰らった形になった。
今回の名古屋も「保健所の指導」を誤認した過失によって虚偽の報告を上げてるのだから、過失って観点では浦和の事例と変わらない。
変わってるのは試合をやったかやらなかったかの一点。
浦和との違いを指摘されるのはあり得るのだから、その点についての説明が無いのは落ち度と言える。
個人なら「ググれ」で済むけどね。
また、リリース全体を見た時に感じた違和感は、「1.対象事案」は論拠となるものを明示しながら違反理由を説明しており、この点について疑問を産むところは見受けられない。
それに対し「3.懲罰量定に際し参考とした事情」はなんとも論理的ではなく、何とか対象事案に合うように持ってきましたって感じが強い。
「各Jクラブは公式試合の日程遵守義務を負っているところ、虚偽報告により安易に日程遵守義務を回避したとの疑念を他のJクラブ、サポーター等に抱かれかねない事態を招いたことは、Jリーグの信用を大きく毀損するものである。」と言うのはその通り。
実際に知ってる人は名古屋を胡散臭く見てしまってる状況だし。
それに続く文で「保健所側から~中略~、名古屋グランパス側が示したチームの活動停止の方針に保健所側が異議を唱えず、これを前提とした感染拡大防止に関する指導を行っている事実が認められる上、保健所の指導に基づいて~中略~、当時の名古屋グランパスの陽性者の広がりからすれば保健所から指導があり得ると考えても不自然とはいえない。」と言っているが、他所がこうだったからうちもこうだろうって考えましたって、誰の自白よ?ってなる。
保健所だって忙しい中、企業の経済活動と感染拡大防止に折り合いつけようとしてる中で、前項でも書いたが「名古屋が活動停止を書いた対応策を出してきた」事に、なんで保健所が異を唱える?
活動停止なんて以ての外!うちは普通にやるんだ!とゴネるならともかく、自分から活動停止やりますって言えば「あぁどうぞ」って事例じゃないか。
活動停止を自分から言い出してる時点で保健所の指導にするのは、十分に不自然です。
そして「その後の調査によれば、当時、名古屋グランパスは、陽性者、濃厚接触者、怪我人等を除外すると実施要項第13条第4項に定めるエントリー下限人数をもともと満たせていなかったことが客観的に明らかである」と書いてるが、これはミスってるなと思った。
「客観的」「明らか」って文言は数量的な証拠が無い時に使う単語で、単独で使っても論文やら報告書ではハネられるのに、重ねて使ったら信用ならんの二乗の破壊力がある。
客観的と言うなら誰がそれを判断したかを記すべきものだし、明らかって単語は誰が見てもはっきりしている様を言うが、はっきりさせる為の証跡がリリースには全く無い。
バイネームで誰が出場可能だったのかを示せってのは難しいにしろ、「けが人X人、コロナ陽性者Y人、濃厚接触者Z人」で、一人づつ「復帰まで何日(受傷日より)」位の情報は示さなければだめ。
それでも名古屋がごまかす気ならごまかせる。(もう信用なんぞありゃしない)
一体何を聞き取り調査したんですか?と聞きたくなる。
と、記事を書いてたら
「タグマ!」の中の「朱鯱新報(https://www3.targma.jp/akasyachi/2022/08/31/post87258/)」なるサイトでチェアマンと広報担当者の質疑応答があった。
これを読むと、罰金200万ってのは過失だったからと読める。
過失で没収試合にすると故意だって解った時の処罰はどこまでやるんだって事なんだろうが、そんなもん故意と解った時点でJ追放で良いじゃないか。
嘘つく子は出ていきなさいで十分ではないか?
また、9/14の試合を声出し応援対象試合にしたのは、8/15以降希望するクラブにはOK出してるからと言うので、名古屋が希望したと。
つくづくヒールに徹したい名古屋さんの矜持を垣間見た気がする。
川崎も7/16と開催の条件が違うと突っ込んだようだが、こんな回答されたら呆れるしか無いだろう。
5.彼らはベストを尽くさなかったのか?
もう身も蓋もない言い様ではあるが、ここまでの流れを見てると「川崎戦は中止にしたいです」って疑惑は深掘りされました感が拭いきれない。
疑惑は解明するもので深掘りするようなもんじゃない。
他のクラブはどうだったかと言えば、ガンバや鳥栖は保健所が介入しての活動停止と聞いている。
これがまた難点で、その時に無事な選手13人(うちGK1人)を満たしていても、指導がある以上は試合が出来ない。
逆に介入が無かったのが川崎。
アウェー浦和戦はGK4人全部連れて行って、うち二人はFPとして万が一の時は出場するつもりで準備してたし、FP2人だから殆どの選手は酷暑の中90分走り続けなければならない。
正直なところ現地で見ていて辛い試合だった。
浦和がフェアに全力でぶつかってきてくれたのが救いだったと思う。
浦和も川崎もこの試合は絶対にやらなければならない試合だった。
浦和はACLとルヴァン準決勝出場で日程が苦しかったし、川崎はすでに2試合がコロナで飛んで(更に台風で京都戦が飛んだ)過密日程を更に悪化させる危険があった。
川崎の状況見ると、他の試合中止にしたクラブと状況は変わらんかった可能性があるけど、それでも規約がある以上試合開催に向けての努力は見て取れた。
福岡もGK2名入れていたと言う。
名古屋に見れなかったのは、この努力をしているという過程なのだ。
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